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3カ月弱の浅草滞在を終えて、6月末にカンボジアの首都プノンペンに戻りました。梅雨が明けて盛夏を迎えた東京も暑かったけれど、プノンペンも暑いわぁ。
さて、東京滞在は終わりましたけれど、東京滞在の報告は今回を含めてあと3回続けます。もうしばしおつきあいくださいませ。
JAZZピアノ奏者 野本晴美

Jazzピアニスト 野本晴美さんと出会ったのは数年前に埼玉県羽生に高校同窓である後藤雅浩氏を訪ねたときでした。
後藤さんは、羽生で雨読晴耕村舎というNPO法人を立ち上げ、「● 持続可能な暮らしに必要な技術をまとめたりつくっていき、さらにそれを伝えていく活動」&「● 子供たちが情緒豊かでしなやかな思考・行動ができるように田園で育ち遊べる環境を残し再生させていく活動」に取り組んでいる、と書けばカッコいいですけれど、まぁ私的な言葉を使えば、好きなことを好きなように思いっきりやっている御仁であります。
その雨読晴耕村舎が毎年開いている「家庭稲作講座」に野本さんはご家族で参加されていて、たまたま私が後藤さんを訪ねた際に、野本さんたちもおられたのでした。
野本さんご一家は、現在は千葉在住ですけれども、野本さんは羽生の隣の加須のご出身です。おそらくそんなご縁もあって、野本さんは雨読晴耕村舎と出会ったのだろうと思われます。
彼女はプロの楽器演奏家だけれど、なんの楽器でしょう? なんて後藤さんが野本さんたちを紹介してくれて、私が「う~ん、キーボードかしら?」なんてのが最初の出会いだったのです。正解は、Jazzピアノ奏者。ほほう。Jazzピアノとな。すでにCDも何枚か出されていてということでしたので、これはご縁というもの、さっそく取り寄せて聴いてみたのです。ふむ、素敵。
忘れずに書けば、野本さんのパートナーであるのぼ氏もギター&ボーカルで、ジャンルは………、かなり自由派だろうと感じるのですけれど、あえて言えばブルース奏者かしら。
それが始まりで、その後、東京滞在時に彼女のステージでうまくタイミングが合うと出かけていくようになりました。そして、野本さんはのぼさんとふたりで「のぼとはるみ」名義でも活動していることもわかってくる。やがて「のぼとはるみ」のCDもじわっと出たりして、それも購入して聴く。こっちはのぼさんのボーカルが自由で楽しいなぁ。

一点深堀り集中型
話をちょっとだけ私事に飛ばしますけれど、お客様が来られて外食する際、プノンペンで私が選択するレストラン・食堂は、ほんの数軒に限られます。モニボン通りの中国拉麺、ドゥアンペン地区のルポワン、同じ地区のまるいちうどん……。いっつもいっつも同じ店。車イスでの入りやすさや、車の駐車場所といった環境が私のニーズに合っているという条件はあるうえで、気に入ったら何度でも通うという私の気質もあるような気がします。
同じ店に通うという傾向は、以前からありましたけれど、やっぱり車イス者になってから顕著かもしれません。う~ん、これは保守化が進んでおるのか、安全策に流れ過ぎているのか、だとしたら反省点かなぁ。けれども、そもそも私、しみったれなところがあって、それほど外食しないのです。ですから、数少ない機会があれば、やっぱり中国拉麺の餃子と焼きそばが食べたいなぁと思うのです。そして、出かければいつもの店員さんたちが笑顔で迎えてくれる。となれば、やっぱり次もまたあそこで、となる。お客様によっては、「村山さんと一緒となれば、やっぱりいつもの……」なんておっしゃってくれる方もいる。そういうわけで、馴染みが数軒あれば、もうそれ以上のニーズはなかなか生まれない。
けれども、例えば私の(上の)妹氏。東京に滞在すれば、彼女夫婦が食事に誘ってくれることがあるのですけれど、いっつも違うお店を選んでくれます。彼女が飲食店関連の雑誌編集を長くやっていた(今もやっているのかな)という背景はあります。彼女は、機会があればいろんなお店を観察したい。そして、東京となればもう星の数ほど彼女が行ってみたいお店がある。そんなわけで、私はいつも新鮮な食事場に誘い出されて、それはそれで楽しい。
でも、もし私が彼女たちを誘い出すとすれば、おそらく馴染みの店ということになっていくのだろうと予想します。
つまり、人間は馴染み店を作るタイプと、常に新しい店を開拓するタイプの二通りに分類されるとすれば、私は前者、妹は後者ということになるのでしょう。知らんけど。
そして、東京で星の数ほど選択肢がある音楽環境の中で、限られた時間/タイミング、さらに限られたお財布事情、そして車イス者事情も兼ね合わせると、どうしたって私が通えるステージは限られてくる。そういうわけで、今回の東京滞在での深堀りターゲット、それが野本晴美だったのです。
野本晴美三昧
今回3カ月弱の東京滞在中に通った野本晴美ステージは以下の4つ。
1.5月5日 野本晴美 ピアノソロ @稲毛CANDY
2.6月23日 のぼとはるみ @レストラン邪夢 本千葉
3.7月5日 野本晴美トリオ @U3chi 東川口
4.7月21日 サックス佐藤洋祐&ピアノ野本晴美 DUO @レストラン邪夢 本千葉

1.ピアノソロ、2.のぼとはるみ、3.野本さん自身がリーダーを務めるトリオ、4.サックス奏者佐藤洋祐さんとの共演、と、4つとも違うアレンジなのが味噌であります。
やぱり圧巻だったのは、トリオだったなぁ。昨年末に新しいCDを出した野本晴美トリオは、この春から夏にかけてあっちこっちでステージに立って攻めている。ところが、彼らが都内で演奏する場がことごとく地下。すべての会場がエレベーターのない階段のみで、しかもその階段も狭い。どの会場に問い合わせても、「車イスは、ちょっと…」と告げられてしまいガッカリが連続してた。今回は縁がないかなぁと思ってトリオを聴くのは諦め気分だったのです。
そこに飛び込んできたのが、野本晴美トリオがU3chiという東川口駅近くの会場で開かれるという通知。U3chiに問い合わせのメールを送ったところ、「ぜひ来てくれ」。U3chiというよく分からない会場名、これはつまり陽一さんのお家からのシャレで、陽一さんはご自宅を改造してジャズの会場として開放しているという趣味人だったのです。つまり個人宅がステージ会場なのでした。
この日は、会場はぎっちぎっちの満杯(30名ほど?)。会場の熱気に煽られてか、この日の野本晴美トリオの演奏はキレッキレに私には感じられました。
トリオの演奏、2024年秋に私は一度水道橋近くの小さなステージで聴いています。平日の夜だったこのときは、奏者3人に対して、観客が4人?5人? こんな素敵な演奏なのに、観客少なすぎ—!と私は申し訳ないような気分だったのです。もちろん、観客の数とは無関係に、このときのトリオもリラックスした素敵な演奏でした。けれども、やはり熱さは今回が上だったようなのは、気のせいだけじゃないと思うのだなぁ。奏者と観衆がともに作り上げていくのがステージの良さってことを、改めて実感したU3chiでのコンサートでありました。
そして、のぼとはるみ、のステージも印象的でした。こちらのステージには、のぼさんと晴美さんとの愛息である一歩さん(小学6年生)がスペシャルゲストとして乱入し、ベースを演奏したのです。つまりギター&ボーカルのぼ、ピアノ晴美、ベース一歩の家族トリオ。このときは野本さんがついついお母さんの顔になってしまうのは、これも私の気のせいだけではないように思えます。野本さんのそんな多面性を見るのも楽しかったなぁ。
ソロコンサートでは野本さんの弾き語りがあったり、サックス佐藤さんの共演は脇にまわった野本さんのリラックスぶりがまたよろし、でありました。
野本さんのピアノ、素人の私見ですけれども、私には流暢な円滑さよりも、ちょっとゴツゴツとした音色に思えます。ゴツゴツなジャズピアノといえば、セロニアスモンクだなぁと思い出すわけですけれど、きっと野本さん、モンク好きなんじゃないかなぁ。
そして、トリオで演奏する曲、そのすべてが野本さん作曲のオリジナル曲なのです。そこも攻めているというか、自分を生きているというか、私にはとても好ましく思えるのです。けして大きなスポットライトが当たる場所にいるわけではないけれど、地に足つけて生きている、そんな逞しさを私は彼女のピアノに感じたりするのです。
そして、さらに、おそらくのぼさんの存在が野本さんをより高く遠くまで飛翔させているのではないか。こののぼさん、なんか子どもがそのまま大人になってしまったような天真爛漫さを湛えていつつ、ちょっと油断できない不穏さも垣間見える、つまり微かな緊張感も漂わす不思議な雰囲気を持った、つまりファンキー野郎なのです。無邪気を装いつつ、でも眼は笑っていないときもあるふうにも思える。つまり、彼もアナーキー、反抗と自由とを尊ぶ人。なんとも気になる存在なのです。この自由人と共に暮らしていれば、そりゃ影響を受けないはずはないだろう、って想像するのも楽しいわけで。
あぁ、晴美さんものぼさんも、また上京の折りにはおっかけちゃうよなぁ、きっと。また彼らの奏でる音楽に触れるのが今からとっても楽しみです。


プラスα 仲野麻紀+ドリアン助川、コンスタンティノープル+アブライチッソコ
プラスα、なんてくくっては大変失礼なことなのでした。ゴメンナサイ。野本晴美三昧の脇で、他にも音楽、楽しみました。
まずは、我らが仲野麻紀さん。このブログでもときどき登場される、JAZZサックス奏者です。フランスを拠点としている仲野さんは、毎年春と秋に日本列島をサックス抱えて神出鬼没に吹きまくっています。そして、この春のツアーの最後の最後に私は間に合って、今回はあのドリアン助川さんとの協同で、ドリアンさんの朗読に仲野さんが変幻自在で曲をつけていくというステージ。あれは5月6日下北沢アレイホールでした。
(ちなみに。下北沢アレイホール、2階にありエレベーターもあります。けれども、このエレベーターに通じる通路にとても狭い箇所があり、私の横幅70センチメートル弱でギリギリでした。また2階エレベーターの開き戸と下り階段に面する踊り場が車イス者にとってはとても狭いのです。普通に歩ける非障害者であれば何も感じないのでしょうけれど、車イス者にはちょっとヒヤッとするエレベーター開き戸と階段との距離なのです。エレベーターから勢いよく出たら、そのまま階段落ちちゃうかも? 要注意です)

ドリアンさんは自作の動物たちを主人公にした「動物哲学物語」の最新刊からいくつかのお話を朗読されました。なるほど~、こういうのもあるのかぁ。ふむ、朗読コンサート、とっても面白かったのです。エネルギー溢れる人たちのその熱気に触れるというのは、やっぱりこちらにそのエネルギーが注入されていく感じがあって、たまらなくエキサイティングなのでした。そして、チラッとでしたけれど仲野麻紀さんと直に顔を合わせてお話できたのは、私にはとっても嬉しく贅沢な時間でした。 麻紀さん、お会いできて勝手にエールを交わしたつもりになっています。どーぞますますのご活躍を。

さらに。その仲野麻紀さんがMCを務めるインターネットラジオ《Openradio》で紹介してくれたのが、Constantinople(コンスタンティノープル)という音楽集団のコンサートでした。
このコンスタンティノープルという、トルコ最大の都市イスタンブールの旧名を名のる彼らは、カナダの都市モントリオールを拠点とする、主に中東音楽を演奏するグループだそうです。グループの発端は亡命イラン人兄弟ということですから、トルコ?カナダ?イラン?、まぁ気にしないですませましょう。
そして、その中東音楽グループが、今回西アフリカのコラ奏者、アブライチッソコ(Ablay Cissoko)をゲストに迎えて日本公演をしていると、仲野さんはアナウンスしてくださったのです。上記写真で左から2番目の男性、彼がチッソコさん、が抱えている楽器がコラです。大きなヒョウタンを割ってつくった共鳴胴に長い柄をつけて、そこに多数の弦がヒョウタンに向かって左右斜めに張ってあるリュート型撥弦楽器です。
奏者は座ってコラを膝の間に抱え、両手の指で弦をつま弾くのです。一説には、西洋楽器のハープ(竪琴)の原型とも言われているとか。
私、以前からこのコラの音色が好きでして。けれども、生のコラ演奏を目の当たりにする機会はこれまでありませんでした(Youtubeなどでは演奏を観ることが可能ですけれど)。やっぱり生を聴きたいなぁ。
そこで6月9日夜、東京の三鷹駅からそれほど遠くない武蔵野文化センターでの公演に出かけたのです。三鷹在住の下の妹が同行してくれましたよ。会場は満杯です。いや~、けして有名とは思えない中東音楽集団プラス西アフリカのコラ奏者の公演に、しかも平日の夜、あれだけの聴衆が集まるとは、三鷹界隈の人々やるなぁ~と思いましたね。しかも、演奏後の拍手鳴りやまず、2度のアンコールの後、メンバーが「もっと聴きたい方はホールで販売するCDを買ってください」とおっしゃるほどの盛況ぶり。実際、CD販売には長蛇の列ができていました(その後、私はインターネットで音源を購入して彼らの演奏を身近に楽しんでいます)。
そして、やっぱりコラの音色、ラオーッナッ!(カンボジア語で、ラオーは「良い」、ナッは強調を示す音です)素晴らしかったなぁ。演奏しながら歌うチソッコさんの歌声がまた優しく穏やかで唯一無二という感じがいたしました。言葉にすると陳腐になるけど、たまらなく静かな歌声なのですよ、声が小さいという意味ではなく、静かな声。平和な声ってのがあるとすれば、彼の歌声が、それ。なにより、チソッコさんは演奏しながら他のメンバーに何度も視線を合わせようとするのです。目が合えば、微かに笑む。そっと小さく頷く。それはつまり全面的肯定。それがとっても印象的でした。おそらく、西アフリカのコラ奏者たちは、ああやって演奏中に互いに見つめ合い微笑み合いしながら、精神的高みに昇っていくのであろうなぁ。あぁ、満足度の高い夜でありましたよ。出会えてよかったぁ。
さらに付け加えると、このときの会場の車イス席には、私よりもよっぽどの重度障害を抱えた方がお二人おられました。近くにおられた方とは少し言葉を交わし、遠くにおられた方とは会釈でご挨拶しました。無理せず、ヤンチャにお互い長生きいたしましょう、と心の中で念じたのだけれど、伝わったかしら?
麻紀さん、あなたのOpenradioを聴いていなかったら、私のアンテナに彼らのコンサートがひっかかることはなかった。知らせてくださって、本当にどうもありがとうございました。
プノンペンではなかなか出会えないこれらの生演奏に触れるのも、東京滞在の醍醐味でございます、はい。滋養滋養、生きるための心の糧、やっぱり必要ですものね。
















にもうさく、Ani tya、サーフライド各1枚欲しいです。
申し訳ありませんが購入先のご紹介いただけますか。
小野久先生
いつも真摯に読んでいただき、本当にありがたい限りです。
リクエストの件、私信で改めて連絡いたします。しばしお待ちください。
村山哲也