米国トランプ大統領をノーベル平和賞に正式推薦したカンボジア政府……

タイとカンボジアとの国境地域での武力衝突は、7月下旬にひとまずは停戦となっています。その後も、小さな揉め事は何度も起こっていますけれど、このままうまく落ち着いてくれることを祈るばかりです。ちなみに報道されている両国の世論調査によれば、両国とも相手国との国交断絶を支持する民衆が圧倒的多数です。まぁそれならそれでいいですけれど、大人用紙オムツを生産していないカンボジアで、タイからの輸入品に頼っている私の未来はあんまり明るくないのだなぁ。
この停戦に際しては、米国トランプ大統領が両国に停戦を強く呼びかけました。それを受けて、カンボジアではトランプ大統領の好感度は急上昇しています。カンボジア政府は正式ルートを通じてノーベル賞委員会にトランプ大統領を平和賞に推薦したとのこと。それに対して、米国トランプ政権もカンボジア政府に謝辞を送っています。
しかし……、トランプ大統領はイスラエルのパレスチナへの武力攻撃へは支援を続けています。これはトランプ大統領に限らず、歴代米国政権がイスラエル建国以来ずーっと続けてきた政策ではありますけれど。それでも、トランプ大統領の前政権時の2018年には在イスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転しました。1967年の第三次中東戦争でイスラエルは、それまでヨルダンと分割していたエルサレムのほぼ全地域を占領しました。けれども、その後国際社会は、イスラエルのエルサレム全面併合を認めてこなかった。国際社会の非難を馬耳東風と受け流し、イスラエルはエルサレムの全面占領を着々とすすめてる。
そんな状況下、米国大使館をエルサレムに移すということは、米国がイスラエルのエルサレム併合を認めるという強いメッセージであると受け取られます。ということで、トランプ政権はこれまでの歴代米国政権以上に親イスラエル寄りであると内外から認識されています。
この2年近くで少なくとも6万人以上が殺され、現在では飢餓も発生しているイスラエルによるガザ虐殺を応援しているトランプ氏を、ノーベル平和賞に推薦する……。それはカンボジアだけではなく、パキスタンなど他にもトランプ氏推しの国はあるようですけれど……。でもなぁ、なんか悪い冗談のようです。なんかカンボジア政府の「自分たちさえよければ、他は知らない」というメッセージのようにも私は思えてしまうのです。
そうそう、イスラエルの現首相ネタニヤフ氏も、トランプ大統領を今年7月にノーベル平和賞に推薦する公式レターをノーベル委員会に送っていましたね。イランとの紛争で、一緒にイランを爆撃してくれたお礼みたい。
けれども、ノーベル平和賞そのものがすでにかなり汚染され、その威厳はすでに地に落ちているように私は感じています。たとえば我が祖国の佐藤栄一元首相の受賞(沖縄の核兵器持ち込み容認付きの沖縄返還交渉を称えて?)など小さいもので、オスロ合意でのイスラエル/パレスチナ両国首脳の1994年の受賞などはノーベル平和賞の欺瞞性を世間に明らかにするには十分な事例でした。さらにひどかったのは、1978年のイスラエル首相だったベギン氏の受賞(エジプトのサダト大統領との抱き合わせ受賞でした)。ペギン氏は、イスラエル建国時に自らイスラエル武装集団のリーダーとして、パレスチナ人虐殺を指導した人物です(デイルヤシーン村虐殺事件がよく知られています)。大量虐殺実行者でも平和賞。
ですから、今さらトランプ氏が平和賞受賞だとしても、何もおどろくことはありますまい。むしろ、トランプ氏にこそノーベル平和賞は相応しい。
(念のための注:ノーベル平和賞受賞者がすべてペギン氏のような事例だとは思いませんよ。平和賞の名にふさわしい受賞者も少なくない。けれども、それらの“ふさわしい”受賞者はノーベル平和賞の欺瞞性・政治性を隠匿する位置づけになっている、それがカナシイと言いたいのです。昨年平和賞を送られた日本原水爆被害者団体協議会が日本政府に「国連が定めた核兵器禁止条約への参加を、せめて会議へのオブザーバー参加を」と求めても、日本政府は耳もかさないじゃないですか。)
パレスチナの国家承認がパレスチナに何をもたらすのか?
さて、パレスチナです、ガザです。その後も、連日のパレスチナの人たちへのイスラエル軍の虐殺行為は続いています。飢餓での死亡、特に乳幼児の死亡も増えているという報道もあります。これは同じ地球上で、しかも連日その様子が報道されつつ、起こっていることなのです。私たち人類のダメさ加減をこれでもかと見せつけてくれるのですから、ここはしっかりとその事実を見つめるしかない。目をそらさずしっかり見よ! 今後、戦争を知らない、とか寝言を言う人がいたら、2023年末から続いたガザ虐殺のときにあなたはどこで何をしていたのか?と訊ねたいです。
イスラエル政府のあまりの残虐ぶりに、さすがに国際社会からの批判の声も大きくなっています。先日は、仏国政府がパレスチナ暫定自治区を国家として承認すると声明を出しました。パレスチナ国のヨルダン川西岸地域に大使館を設置することも検討しているとのこと。それに対してイスラエル与党の右寄りからは「イスラエル国が正式にヨルダン川西岸も併合することを宣言しよう」という声も出ているという報道もありました。
仏国の決定が、イスラエル政権を揺さぶっているのは確かなようです。その点では、未だにパレスチナを国家承認できない国のパスポートを持っている私としては、ぜひ我が祖国も仏国に続いて欲しいと思う(ところが、米国ニューヨークの国連本部で開かれる総会に出席しようとしているパレスチナ自治区のアッパス大統領らの入国ビザ発給を米国が拒否していますよ)。
けれども一方で、パレスチナを国家承認してどうなるのか?という疑問も私にはあります。今後、もしガザ虐殺作戦が停止されるとしても、パレスチナが現実に独立国家として成立するシナリオはまったく存在しない。現在のパレスチナ暫定自治区は、経済的にイスラエルの支配下にあります。輸出入の自由もない。国際空港も持っていませんから、人々の陸路での入国にもイスラエルの強い干渉下にあります。日本政府を始めとする多くの国々がいまでも1993年のオスロ合意によるイスラエルとパレスチナの二国共存による解決を言いますけれど、すでにイスラエルはオスロ合意を完全に無視しています。自国へのアラブ系住民への下等市民扱いといい、パレスチナ暫定自治区住民への蹂躙といい、イスラエル政権が現在のアパルトヘイト政策を継続する限り二国共存なんてことはまったくの夢物語です。未だにオスロ合意云々と言っているのは、国際社会の外交運営の怠慢じゃないですかね。
とすれば、アパルトヘイト政権を打倒するために、国際社会は過去にアパルトヘイト政権だった南アフリカ共和国に実施したような経済制裁を実施すべきなのか?経済制裁だけではなく、文化交流やスポーツ交流も禁止すべきなのか?(南アフリカ共和国はオリンピックへの参加も認められませんでした)。
はい、私は経済制裁をすべきと思っています。イスラエルの国際スポーツ競技への参加も遠慮してもらいたい。けれども、南アフリカ共和国とイスラエルでは大きな違いがあります。それが米国支援の存在です。当時、南アフリカ共和国には、今イスラエルを強力に支援している米国のような、支援してくれる大国の存在はなかった。ですから経済制裁等が南アのアパルトヘイト体制を弱体化させることに成功したのでした。
米国がイスラエルを支援する以上、イスラエル政権にとって国際的経済制裁はそれほど痛くはないかもしれません。そもそもイスラエル建国の成り立ち(長年続いたヨーロッパ諸国での反ユダヤ主義の存在)を考えると、イスラエル市民は孤立させられれば孤立させられるだけ一つにまとまって国際社会への反発を強める可能性も高い。
ですから、やはり鍵は米国です。
米国の侵略は西へ西へ。そしてその兄弟国イスラエル。
アメリカ合州国の建国は今から250年前の1776年。北米大陸大西洋岸から始まった米国は、西部開拓侵攻を続け、メキシコからも領土を奪い、やがて太平洋に到達します。その経緯では、インディアンと呼ばれた先住民への虐殺がありました。
太平洋に到達した後も、米国の西進はつづきます。
飛び地アラスカをロシアから買収したのが1867年。1893年にはハワイ王国をクーデターで倒し、1897年には併合します。さらに、スペインとの戦争に勝ちスペインの植民地だったフィリピン諸島を1898年に譲り受けます(フィリピンは、このときスペインからの独立宣言をしますけれど、米国はそれを無視します。結局、フィリピンが独立するのは太平洋戦争後の1946年です)。
その後、中国への進出を日本と争い、太平洋戦争で日本を統治下に置いたのが1945年(日本は、サンフランシスコ条約締結後の1951年に日本は再独立)。
そしてさらに西にある仏領インドシナにも介入し、勃発した第2次ベトナム戦争に派兵し1975年に初めて手痛い敗戦を経験する。けれども、米国の西進は止まらなかった。やがて中東へと軍事侵攻は続き、21世紀にはいってからのアフガニスタンやイラクへの侵攻となったのです。
そして、その西進の一端に付け加えられるのが、1948年のパレスチナ地域でのイスラエル独立です。
イスラエルが独立した地域は、英国の委任統治領でした。ですからイスラエルにとって独立の当初の協議相手は英国でした。けれども、イスラエル独立の段階では、すでにイスラエルの後ろ盾として米国がありました。それは米国には、イスラエル以上に欧州から脱出したユダヤ教信者が多くいて、しかも彼らは経済的に豊かな層を占め、米国の政治にも大きな影響力を持っていたからです。
そして、イスラエルと米国は、その成り立ちが確かに良く似ています。他所の地からの移民が先住民が生活してる土地に侵攻し、そこを支配する。その過程では、圧倒的な軍事力による先住民への仮借ない虐殺・迫害が行われる。
そして、イスラエル独立後、米国はイスラエルを先兵として中東支配をコントロールしてきた。イスラエルの核開発・核兵器保有も黙認します。
米国とイスラエルは、兄弟国といっても間違いではないでしょう。そして、それはトランプ大統領によってますます強化されています(もちろん、多くの兄弟がそうであるように、弟は兄だけではなく、兄をコントロールするために他の力も有効利用しようとします。たとえばロシアや中国の力も巧みに活用しているのが現在のイスネタニヤフ政権です)。
さて、どうやってイスラエルを止められるのか? そこでトランプ氏へノーベル平和賞を(条件付きで)!!
さて、どうやってイスラエルを止められるのか?と書いてはみたものの、そんなこと市井の個人である私にわかるはずもありません。イスラエルの蛮行を止められもしない。
それでも「遊びで」書いてみれば、(ガザの状況を前に「遊びで」というのはまったくもって不謹慎極まりないのだけれど)、つまりはどうやって米国からの支援を止めるか、でしょう。
そこで、トランプ大統領に彼が欲しいと希っているノーベル平和賞を差し上げるというのはどうかと思うのです。ぜひ私も、この場を借りてノーベル賞委員会に、トランプ氏を推薦申し上げたいのです。
その条件として以下を提案する。イスラエルのパレスチナ攻撃即時終戦宣言を米国主導で実施する、米国からイスラエル国への武器輸出全面禁止、イスラエルアパルトヘイト国家への経済制裁に参加、の三つだけです。トランプ氏よ、この三つだけ叶えてくれたら、あなたが亡くなるまで毎年連続でノーベル平和賞を受けたとしてもOKです(大富豪のあなたですから、平和賞に付随する賞金は返還でいいでしょう?)。
そうそう、ガザ復興のためのガザ国際リゾート計画と、そのための全ガザ市民移住計画は無しでお願いしますよ。
3つの条件の先には何が必要なのか? それは現在のイスラエル国民とパレスチナのアラブ系住民・難民が共に暮らす一国共存の実現だと私は信じます。
パレスチナ地域で、パレスチナの人たちと、イスラエルのユダヤ系の人たちが共存するには、おそらくもう二国共存では無理なのです。なぜなら、今のままではユダヤ系国家による支配が強すぎる。ここは、たとえ何十年、何百年かかっても、アラブ系とユダヤ系の融和国家を目指すしかないと夢想するのです。
融和国家の構想はけっして私のオリジナルではありません。イスラエル建国以前からユダヤ系ドイツ人だった哲学者アンナハーレント(ナチから逃れて米国へ亡命)らがその案を明確に打ち出していました。さらに20世紀末にはパレスチナ出身のユダヤ系米国人エドワードサイードも、二国間共存ではなく、二民族(ユダヤ系とアラブ系)共存国家の設立を強く主張しています。けっして砂上の夢物語というわけでもないのです。
国家学校教育の“洗脳”の力は、かなり強力なので、融和のためのカリキュラムを強力に推し進めれば、少なくとも表向きの融和国家は100年もあれば達成可能じゃないかな。ここで「表向き」と書いたのは、どんなに学校教育での洗脳が進んでも、家庭教育の過去の伝承の力を無化することはむずかしいのも、過去のさまざまな事例から明らかだからです。ここは、学校教育だけではなく、融和の実例をコツコツとていねいに根気強く積み重ねていくしかない。
今、必要なのはそのスタートラインに立つことです。
トランプ氏よ、ぜひそのスタートラインの構築に残る短い人生を賭けてくれないだろうか?このような国際的な影響力が必要なイシューでは、我が祖国の政治家よりもトランプ氏、あなたのような人のほうがまだ可能性があるようにも思うのですよ。そして、後世に向かって「俺はノーベル平和賞をもらったんだぞ」と思う存分胸を張ってくださいましな。
そんなことが起こったら、私は後世に向かって「あの裏方は俺」とそっと小さな声でつぶやくことにいたします(嘘)。
とにかく、ガザ、早く停戦を。まず停戦を。そして十分な支援を。そして、単に支援に頼るだけでない、自立した社会の構築を祈るのです。
まずは、そこから。無神論者の私ですが、こんなときは東西南北上下左右どちらの神々にでも祈ります。なにとぞ願いが叶いますように。パレスチナとイスラエルに、平和が訪れますように。


















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