届かない!
まずは、解りやすい事例から始めましょう。
座ったままでは届かないこと、おびただし。
冷蔵庫内の上部に入れた食材に手がとどかない。
縦型洗濯機洗濯槽の底に手がとどかない。
壁のちょい高い位置や本棚奥にある電気ソケットや照明スイッチに、手が届かない。
ベッドやテーブルの下に落としてしまったモノに手が届かない。
マンションによっては、入り口にある暗証番号テンキーや呼び鈴に手が届かない。
本棚の高いところにある本に手が届かない。
壁につるされたフライパンに手が届かない(実話)。
食器棚の奥にしまわれたお気に入りコーヒーカップに手が届かない(実話)。
鉄道駅切符販売機によっては、モニター上部にに手が届かない(実話)。
乗り越えられない‼
これも解りやすいでしょう?
10センチメートを超える段差が乗り越えられない。
さまざまな階段が乗り越えられない。
ちょっとした歩道にある段差も乗り越えられない。
世の中の偏見・無理解が乗り越えられない。ってのは、また別の話ってことで。
よく見えない、読み取れない!!!
ちょっと中級編に入っていきます。
銀行のキャッシュディスペンサーの画面が光って読み取れない。
切符販売機の画面も光って読み取れない。どこ押しゃいいのよ!
高いところに表示された文字がよく見えない(こりゃ老眼のせいか?)
コンサートチケット買うときによく使うコンビニの支払い機械の画面も、天井の蛍光灯が反射して、全然読めませーん。
乗せてくれない!!‼ 入れてくれない!!‼
その1 ユニバーサルデザインのタクシーが、乗せてくれない。

上の写真のようなタクシー。東京オリンピック2020? 2021?で導入が進んだタイプ。
これが、かなり高い割合で車イス者を乗せてくれない。
私の感覚だと、飛行場や駅のタクシー乗り場なら3分の2以上の確率で乗車拒否。
(病院のタクシー乗り場なら、おそらく100%ちかく乗せてくれるのでしょうけど)。
このユニバーサルデザインのタクシー導入には自治体から補助金も出ているはず。
それなのに、乗せくれない。
この写真にある緑のマークはベビーカーマーク?どうして車イスマークをつけないの?
乗車拒否されても、もうそこでケンカはしません。はい、わかりました~で済ます。
ナンバープレートの写真撮ってタクシー会社に伝える? SNSに上げる?
いやいや、そういうエネルギーないっすよ。
そして乗せてもらったときは、心からお礼を伝えるように心がけてます。
私の経験の範囲では、MKタクシーはとっても気持ちよく乗せてくれます。
MKタクシー、推します!!!!!!
その2 空港バス、高速バス、長距離バスは軒並み乗せてくれない。

上の写真は、カナダの高速道を走る長距離バス。車イス者にも対応可能です。要はやる気の問題なのがよくわかりますよね。
ただ、どうしたって事前予約が必要みたい。つまり、事前予約なしだと乗せてくれない。くっそー、予定なしでふらりと来たバスに乗れればすっごく気持ちいいのになぁ。
その3 「俺の店には車イス者は入れない」と店主おっしゃり入れてくれない。
段差はそれほど厳しくなく、サポートしてくれる友人でもいれば容易に入れる店。一度は入店して、楽しいひとときを過ごせたお店。あそこ、また行ってみよう。
ところが、現れた店主が「車イス者は入れない」。えー、この前は入れてくれたじゃないですか? 「あのときは俺はいなかった。バイトの子が勝手に入れちゃった」 「自分の店なんだから、自分の判断で車イス者は入れない」 そうですか。「入れる店は他にもあるんだから、そっちへ行ってくれ」はい、そうします~。 赤羽駅から遠くないちょっとおしゃれな喫茶バーでのことでした。
入れないと、入れてくれない、はずいぶんと違うのだよなぁ。ふん、そんなことではへこたれないのさ。
合理的配慮とか持ち出して、お役所様などに相談すれば、あるいはSNSに店名公開で投稿してイイネを集めれば、なんか違うんだろうけれど。でも、そういうエネルギーが湧かないんだよねぇ。そういうエネルギーを発揮してくれる人がいるから、状況が変わっていくという現実も確かにある。私はそういう人たちのエネルギーにただ乗りしているのかもしれないのだけれどねぇ。
苦労するんですー!!!!!
中級編まだまだ続きます。
石畳の道が、苦労するんです。
ガタガタガタガタ、響きます。観光地とか、要注意なんですよ。おしゃれ?やめてほしいのだけれどなぁ。
高層階にレストラン街のあるデパート等で、昼どきに途中階から乗るエレベーター、乗り込むスペース無くて苦労するんです。
来るエレベーターが軒並み人で一杯なんです。
待っても待っても乗れなくて、苦労するんです。
(私は、「車イスで乗りたいので、エスカレーター使える人は降りてくださいませ~‼」と叫ぶ声量とズーズーしさがあるから何とかなりますけど、内気なあなたなら困ると思うよ。
ちなみに「降りて」とお願いして、さっと動いてくれる人に若い女性や子連れカップルが多くて、中高年男性はダメダメというのは、さて私の偏見のせいだろうか?)
大きなJr駅、たとえば上野駅・新宿渋谷東京各駅の山手線京浜東北線ホームのエレベーター
特に休日のは、長蛇の列で苦労するんです。
エレベーターに乗り込めるベビーカー、車イスはせいぜい2台?車イスなら1台?
エレベーター前は長蛇の列で、私は20分ぐらい待ったことあります。
そういえば、最近乗った東京駅のエレベーターはかなり大きくなったような?ありがたーい。
ユニバーサルデザイントイレ、使用中が多くて苦労するんです。
駅やデパートなどのユニバーサルトイレ、かなり増えていて助かっています。
けれども、けっこう使用中が多い。しかも使用時間が長い。私も使い始めればどうしたって通常の人の利用よりも時間かかるので人のことは言えないけれど。
で、扉があけば、さっそうと現れる身ぎれいな一見非障害者。
きっと何か通常トイレでは不便があるのだろうけれど。着替えや身支度? やめてくれよーと言いたくはなったりすることもあるんだよなぁ。
障害者用駐車スペースがいつも空いてなくて、苦労するんです。
いや、これもさ、障害者用スペースに駐車している車は歩行に苦労する方が乗っておられたのだと思いますよ。
でもさ、たとえばプノンペンにあるイオンモールの駐車場に停めてある車はなぁ、なんか怪しいんだよなぁ。単に入口に近いから真っ先に停めてあるみたいな。
イオンモール1号店のVIP(上流市民)専用駐車スぺ―スのすぐ横に障害者用駐車スペースがあるのだけれど、そこに停めてあるのもVIPが使っているような車種なんだよなぁ。黒くて大きい奴。レクサスとか、ランドクルーザーとか、レンジローバーとか。なんか悔しい!(そんなときは、心の狭い自分を嗤うことにしてます)
大きい駅の車イスの乗降者補助の順番待ちが長くて、苦労するんです。
これも上野駅、新宿渋谷東京駅等々。
外国の方が見ると驚く日本の鉄道会社独特のサービスがあります。皆さんも目にしたことがあるでしょう、車イス者乗降の際に駅員さんがボードを設置してくれる、あれ。あの支援をお願いする際に、特にJRの大きい駅、週末や休日で順番待ちがとっても時間がかかることがあるのです。私の経験だと、新宿駅西口や渋谷駅ハチ公口から埼京線に乗るのに小一時間待ちですよ。大きな駅だと、それを担当するのはJR職員さんではなく、外注されたところのスタッフさんでその人数が限られていたり、さらに車イス者が改札口からホームに移動するのにけっこう時間がかかるケースが多いことや、必ず降車駅でも補助してもらう確認が必要だったりして、待つんですよねぇ。サポートは本当にありがたい。でも時間かかり過ぎるのはなぁ。で。
結局、私は乗降サポートをお願いしないで電車を使うことが多いです。
地下鉄日比谷線やJR武蔵野線など、車両とホームの差が大きくて苦労するんです。
日比谷線築地駅、車両からホーム、ちょっとした崖を飛び降りるみたいです。乗るときはその崖をよじ登らなければならない。それでも私は、駅員さんのサポート無しで、まわりのお客さんに補助をお願いすることが多い。補助をお願いして、無視されることは多くないですよ。
そういえば、西武新宿線も車両/ホーム間が車イスには優しくない駅が多い印象です。
不便な駅で思い出すのはJR中央線中野駅です。ホームと階下の改札通路をつなぐエレベーター設備がない(なかった?最近整備されたかも)。ちょっとびっくり!中野区の首都で特別快速も止まる駅なのに、エレベーター未整備? お隣の東中野駅や高円寺駅に後れをとっているなんて。中野駅近辺の車イス者の皆さまと中野駅スタッフの皆さまの日々繰り返される苦労を思うとホント泣けてきますわ。
便意尿意がなくて苦労するんです。
(お食事中、おやつの時間の方がおられますので、この排出トピックは以下省略で)
ベッドに手すりがないと苦労するんです。
介護ベッドの左右の手すり、ここにつかまって私は腕の力で左右に寝返りをうちます。けれども、外泊で泊まるホテルのベッドは確実に手すりがありません。これ100%ホントよ。
さて、私の旅行鞄のポケットには、以下の写真のようなナイロンの平紐が数本入っています。商品案内にはクライミング用とありますからとっても丈夫です(なんか格好いい!)。ベッドの左右それぞれの足にこの紐の片方を結び、残る端はベッド上に放っておく。そして寝返りを打つときは、この紐を手で引っ張るのです。これはなかなか素晴らしい創意工夫でありますよ。一応私自身のオリジナル使用法。著作権・特許権無用。どうぞ必要な方は真似してくださいな。

契約してくれない!!!!!!
いよいよ上級編にいってみましょう。
賃貸の部屋、契約してくれない。
車イス者で借りようとして内覧までしても、大家さんから「貸さない」と言われちゃう。最初から車イス者お断りって言ってよーって思うけど、それを公には言えないのでしょうね。でも、実際には、多いんだよね。外国から来た人へも、そういうこと多いと聞きます。外国人お断りとは公にはしない。でも契約時にはなんだかんだ言って断る。
内覧の時間や手間、返せよーって思うよね。
住宅ローンを組む際に、団信、契約してくれない。
団信とは、団体信用生命保険のこと。住宅ローンを借り入れる際に入る保険です。団信に入っておくと、住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあっても、住宅ローン残高がゼロになって家族がローンを引き継ぐ必要がない。契約者としては、心安らかに過ごせるとっても心強い制度です。
でも、私は団信審査で落ちました。障害が理由です。多くの障害者が団信が組めないのだと想像します。
つまり私が死んだら、ローンを払っている物件はすぐに明け渡しになる(か、誰かがローンを引き継がなくちゃいけない)。浅草の隠れ家をローンで購入したので、死後を考えると、辛いっすよ。
「ほとんどの金融機関が団信の加入を融資の要件としているため、団信に加入しないケースはほぼありません。フラット35のように任意加入とされるケースもありますが、未加入のリスクがあまりにも高いといえます」 (団信のシステムを説明するインターネットページより)。
でもね、任意加入で(つまり団信審査を通れなくて団信に入れなくても)ローンを組んでくれるフラット35は、団信に入れない障害者にはそれでも資金を貸してくれる救いの主でもある。だって、「ほとんどの金融機関は団信に加入できないと、ローンをくんでくれない」のですから。貸してくれるだけで、アリガタイッスヨ。
おそらく、私のまだ知らない「障害を理由に契約してくれない」、きっと多くあるのだと思います。
当事者である私に説明してくれない!!!!!!!
飛行場のカウンターで、ゲート確認など搭乗者の私に説明してくれない。
あのー、付き添い者はチェックインしないんですけど。乗るのは私ひとりなんですけど。
それでも、空港まで同行してくれた付き添い者に「何番搭乗口云々」と私の搭乗券を見せながら説明してくれるスタッフ。えーと、利用当事者は私なんで、ぜひ私に説明してくださいな(説明してくれなくてもなんとかなるけどさ)。
これ、いろんなところであり得ます。付き添い者がいると、当事者が私なのにもかかわらず、付き添い者に説明しちゃう。おいらのことなのに、頭の上を説明が通り過ぎていく。あれ、いい気持ちはしません。あぁ、子どものころみたいだなぁって思うわけですわねぇ。きっと、子どものころは、こういうことたくさんあったんだろうなぁって。
「はーい、美味しいでしゅよー」って赤ちゃん言葉を使われたり、キラキラ星をみんなで一緒に歌わなくちゃいけなかったりという介護センターなどでお年寄りを子ども扱いするのと同系列のことだよね、多分。他山の石としたい事例です。
痛いの痒いの、私自身の身体なのに、その身体が説明してくれない。
説明がないという点では、横隔膜以下で生じる痛み痒みを感じないことも挙げられます。私自身のボディであるのに、痛くてもわかんない(わかんないなら痛くない?!)。たとえば先日患った出血性胃潰瘍、けっこう深刻であったのに私はまったく痛みを感じませんでした。胃潰瘍、経験者の方々は皆「あれは痛いよぉ」とのたうち回った経験を話される。
おそらくキリキリと刺すような痛みではないか。はい、そりゃ痛くないほうが良いです。でも痛くないってのもちょっと不安です。たとえば盲腸炎だったら? いつになったら私は自分の盲腸炎に気がつくのでしょう。患部が発する痛み信号は私の脳に届かない。お医者様だって困るはずです。だって、「どこが痛いのですか?」と訊ねても返ってくるのは「わかりません」、説明不可なわけですから。
さらに、例えば子どもが脛をかじってもわからない。これはハッピーなことなのか、アンハッピーなことなのか? 周りを見渡すと、我が子に脛をかじられて嬉しそうにしている友人知人も少なからずのような気がします。「お金がかかって困るのよ~」と顔をしかめつつ、目だけは嬉しそうに笑っている。つまり、私は「脛をかじられ甲斐がない」ということで、少々残念なケースなのかもしれません。子どもにすれば、齧り甲斐がない、ってことなのか?ま、齧ってもそれほど腹には溜まらない脛しかもっていないのですけれど、ね。
とにかく、齧った分は齧られねばならないのが、世の定めだそうです、知らんけど。
平ベルトをホテルのベッドで使うの、イイですね♪
マネします~!
上條猛様 読んでいただき、コメントまで。どうもありがとうございます。うれしいです。
ブログで紹介した平ベルト、あれは一本ベルトではなく、両端が縫い合わさった輪っか状になっています。
私は自分の足側にあるベッドの左右の足に、そのベルトを固定します。
輪を一本のベルト状にして、片方を足の向こう側を通して手元にもどします。両端が手元にある状態です。
そして、一端をもう一端の輪の中をくぐらせる。そうすると、結ばないでも固定が完了です。
輪状ではない一本ベルトでも、結んでもいいし、大きなカラビナを取りつけといてもいい。
いろいろと工夫のし甲斐があるところです。
ベッドの形状によっては、足がない場合もあります。そんな時は、引っ張っても問題ないような
場所に固定して対応しています。 ま、いろいろ工夫して、やっていきましょう。
『言えてる、言えてる、その通り!!』って事象を短い文の集合で手際よく言っておられますね。普段ご苦労されるからのことでしょう。心がいたみます。
私もユニバーサルトイレから若くてピチピチのお嬢様が大きな袋など提げてさっそうと出て来る風景をよく目にします。最近は紳士然とした働き盛りの人様が出て来る風景も目にします。外見だけでは分からない特別な事情を抱えている人も居られると思いますが100%ではないと思われる。みんなが心身気持ちよく生活出来る社会でありたいね。
駅務サービスの外部委託も経営コストから思いつくことかもしれませんが駅に正社員が一人もいない公共交通機関もありますよね。コストの配慮だというだろうが、どうなんだろうと思います。利用者が安全に利用できるサービスのコストは社会と利用者とで負担すればよい。
視点がズレた社会ホショウに税金を費やす例も多いように思います。生きる者は等しく支えられるべきであり、生きる者は生きる歓びを等しく享受すべきだと思います。
匿名様 「心がいたみます」と書いてもらっちゃいました。
私、苦労しているのかなぁ? 車イス者になって10年たちました。それほど苦労を感じているわけでもないみたい。
どうぞ、心いためずに、お願いします。
子どもに「人に迷惑をかけるな」と教育する大人が多すぎます。もちろん、迷惑もいろいろで、なかには
ダメな迷惑もあるでしょうけれど。でも、迷惑はかけてかけられ、お互いさま。そういう教育が増えていくことを願っています。
生きる歓び、素敵な表現ですね。
読んでいただき、コメントもいただき、ありがとうございます。