ソロモン諸島 不発弾処理犠牲者 それでも行くのか? 

英国と豪の専門家が亡くなった

 ソロモン諸島で、太平洋戦争時の不発弾を処理していたふたりの専門家が亡くなったというニュースを読みました。2020年9月21日の記事です。

https://www.afpbb.com/articles/-/3305633

 亡くなったのは、慈善団体「ノルウェー人民援助」の英国国籍スタッフとオーストラリア国籍スタッフです。専門家ということですから、おふたりとも不発弾処理の専門知識を持っていて、安全には万全を期して仕事をしていたはずです。それでも事故は起こる。
 おふたりの年齢は記事には書かれていないのでわからなけれど、それぞれご家族がいて、突然の報に大きな悲しみに襲われているのだろうと想像します。

危険な仕事

 被害者の背景はまったくわからないまま書いています。あくまで想像ですけれど、ソロモン諸島の住民ではなくて、それぞれのホームタウンから仕事でソロモンに出張にでていたのでしょう。ソロモン諸島では、今でも75年以上前の太平洋戦争時の不発弾による被害者たちがいる。不発弾の火薬を使って違法な爆弾漁をする漁民もいるという。貴重なサンゴ礁は傷つくし、そんな違法漁の過程で怪我をする人もいる。そんな被害を防ぐためには、誰かが不発弾を処理しなければならない。


 彼?彼女?らは、不発弾処理の危険性は十分に理解していて、故郷から遠く離れた土地に行くことも厭わなかった。おそらく家族は心配はしていたけれど、でも夫?妻?父?母?息子?娘?の技術を信頼し、その意志を尊重して、送り出したはずです。そして事故は起きて、ふたりは死んでしまった。


 多くの死は理不尽なものです。運命に魅入られたように、やってくる。どうしようもないようにも思える。それでも残された者は悔やむ。ふたりの死の知らせに、「なぜ止めなかったのか」と自分を責めている人もいるんじゃないだろうか。

それでも行く

 私も20代後半から海外での教育開発支援の仕事をしてきました。そして50歳のときに、アフリカのルワンダという国で仕事中に、乗っていた車が谷に転落するという事故に遭い、下半身麻痺となりました。同乗者の中に亡くなった方もいました。もしかしたら私も死んでいたかもしれない。

 日本に居ても、事故に遭うことはある。それでも、海外で開発支援に関わる人たちには、交通事故などに遭うリスクは高いと聞きます。医療環境がよくない場所で事故に遭ってしまったことで、敏速な処置が受けられなかった。日本でなら、助かったかもしれないのに。NPOでも、ODAでも、長く働いていれば、周りにそんな話を聞くことはある。

 「なんでそんなリスクを背負ってまで、そういう環境に身を置くのか?」と思う人もいるかもしれない。もちろん、危険だから行くわけではない。たとえばソロモン諸島で亡くなった人たちは、そこに不発弾があって、自分がそれを処理する専門家だから、行ったにすぎません。まぁ、なんでそんな危険を伴う仕事を選んだのだ?とは言えるけれど、それを言い出せば消防士、鳶職、看護師、いくらでもリスクを背負った職業はある。たまたまそんな職業についた人もいるかもしれないけれど、それでもそのリスクを負っていることには変わりはない。

 そして、どうして?と問われれば、まずは日々生活していくための収入を得るためだろうし、あえて言えば、リスクに見合う「やりがい」があるから。私はそうだった。だから、事故に遭っても、まぁ仕方ないなぁと思えました。自分がそんな事故に遭うとは思っていなかったけれど、でも心のどこかにほんの少し感じていたかもしれません。もしかしたら、って。飛行機だって落ちるかもしれないし、伝染病にかかることもあるかもしれない。交通事故にも遭うかもって。

 そして、それでも行った。あのとき事故に遭っていなければ、今もどこかに行っていたのでしょう。

 亡くなったスティーブン・アトキンソンさんとトレント・リーさんのご家族に、心からお悔やみ申しあげます。彼らが処理していた爆弾は、旧日本軍が残したものかもしれない。