高齢者・障害者むけのサービスで車椅子を載せるスペースはありません?
私の知人斎藤万紀子さんが、埼玉県羽生市で市議会議員をなさっています。彼女の日々の報告ブログで、最近紹介されました記事が以下です。それによると、羽生市の運営で「交通弱者の移動手段の確保を目的」とした公共交通として乗り合いタクシーの運行がこの10月3日から始まるのだそうです。ここでいう交通弱者とは高齢者と障害者のこと。彼女のパートナー氏も車イス者で、さっそくこの乗り合いタクシーの利用者登録をしようとしたところ、羽生市からこの乗り合いタクシーには「車椅子は乗車できない」という連絡があったというのです。
のりあいタクシーに関する要望書の提出 – さいとう万紀子と羽生市わくわくまちづくり (hatenablog.com)
市からは「荷物は手荷物程度の大きさしか難しいため(車椅子を)乗せることはできない(カッコは私村山の追加)」という説明があったそうです。
そりゃ、ダメじゃん!!!???
つまり、太っている人は他の人の座席を塞いでしまうので乗せることはできない、と言っているようなものではないかしら? 車イス者にとって、車椅子は足なのです。足が邪魔だから乗れないと言われているようなもの。
 ちょっと心配になってきましたけれど、羽生市はこのタクシーに足が不自由で、でも車イスに乗るほどではないという人が使っている歩行補助器(乳母車の小さいやつみたいな)の持ち込みも禁止しているのかしら? 運転手含めて5人乗りタクシーならば、5人まで乗せるのが当たり前と考えているのかな? でも、車椅子にしても、歩行補助器にしても、それらを乗せることを考えたら、場合によっては5人乗りの車に5人が乗ることは無理だったりするはずです。トランクに車イスや歩行補助器は1台しか載せられないでしょう。とすれば、どうしたって座席の空間を使うしかありません。その分、乗車できる人数は少なくなる可能性は大です。
 だから、可能ならば交通弱者(高齢者や障害者)を対象とする乗り合いタクシーならば、荷物をいっぱい詰めるワゴン車のようなデザインが求められるでしょう。
 車椅子だけに限りません。たとえば寝たままの状態で、でも介助者の補助を受けながら重度障害者がストレッチャーを使って外出しようというときに、この乗り合いタクシーはまったく役にたたないのかな。
 この羽生市が導入する乗り合いタクシーがどのような車種なのか、私はわからないままこれを書いていますけれど、もしかして東京オリンピック/パラリンピック2020(実際には2021開催)前に都内のタクシー業者が公的補助を受けて多数導入した「車椅子も乗れるよ、でも運転手のほとんどが乗せ方を知らないよ、そもそも車イス者が乗るにはとっても使いにくよ」というトヨタ製のユニバーサルデザインタクシー「JPNTAXI(ジャパンタクシー)」(下の写真)あたりを使っているんじゃないでしょうね?

トヨタと行政の癒着を思わせるのですよねぇ、このダメダメデザイン。この写真はこのJPNTAXIの提灯記事からのコピー。
 だとしたら、ちょいダメダメだなぁ、羽生市。
 TOKYO2020のとき、ユニバーサルデザインを謳うのであれば、なぜ下の写真のような特に奇抜とも思えないスタイルを導入しなかったのだろう? このタイプなら、車椅子を載せるのに、ドライバーに特別の研修も必要ないだろうと思えるのですけれど。

車椅子対応ならば、こっちのデザインがずっと使いやすい。しかも普通車と比較して、それほど高価とも思えない車種です。JPNTAXIよりずっと使いやすいと思うけれどなぁ。ちあみに、これは私自身で乗車したとき(2018年)の写真です。
 斎藤万紀子さん、ブログでの続報をぜひ。羽生市のお隣である加須市や行田市では、このような公共サービスで車イス使用もOKだということですので、単に羽生市担当者が「気が回らなかった」というだけの話のような気もしますけれど。さて、どうなるのかな????
 皆様もどうぞ関心を持って見守って下さい。若いあなたも、いつかは老いて車イス者になる可能性も充分にあるわけですから。
車イスと一言にいっても多様です
ところで、夏至から秋分までの四半期年を東京浅草で過ごしている私です。今回の滞在目的のひとつが、7年間使った車イスの新調でした。
2014年8月末の事故後、約1年の入院期間を経て私が社会に出たのが2015年夏。その際に作った車椅子は、7年間しっかりと私の足になってくれました。そして、無理すればまだまだ使えるわけですけれど、多少のガタが出てきているのと、車イス者としてより質の高い生活のために、ありがたい労働災害の補助を得て今回車椅子を新しくしたのです。
新しい車椅子、ほいほいと購入できるわけではありません。申請書類を整えなければいけませんし(これはそれほどの苦労でもありません)、大事なのは新車をどんな仕様にするかです。そのためには、10日間ほどのお試しで業者おすすめの車種を試乗してみる、これが大事なのです。
実際にこの試乗の結果、私独自のニーズが明らかになるわけです。私にとってとても大事だったのは、座面と背もたれの微妙な角度でした。
通常仕様の車椅子の座面と背もたれの角度は、90度ではなく86度なのだそうです。つまりほんの少し上半身が前傾することになります。この4度の前傾が、手動車イス者が車椅子の車輪を手で漕ぐときの助けになるのです。車椅子の車輪を漕ぐ際には、車輪を下に押し込む手の動きが大事なのです。そのために、上半身がほんの少し前傾することが重要なのです。なるほどー!!
ところが、私にはこの前傾がダメでした。体幹が壊れているので(腹筋背筋がダメダメ)、上半身のちょっとの前傾を維持できずに、体が前方に折れていってしまうのです。外見ではなかなか判りませんけれど、私は両手を浮かしての作業ができません。右手を使って何かしているときには、左手で体を支えなければならないのです。パソコンを使う際には、タイプしながら両手のひらの底の部分がPC上で身体を支えているので大丈夫。けれども、ピアノの鍵盤を弾いていると、どうしても両手が浮く時間があるため体が前に折れていきます。とにかく、普段はちょっと背中にもたれかかって上半身を支えているのでした。
改めて確認してみると、私が使っていた旧車の座面と背もたれの角度は98度でした。すこしふんぞり返る角度になっているのです。ふんぞり返る姿勢は、車椅子が後方にひっくり返るリスクに繋がります。ですから、車椅子の形としてはお勧めではない。けれども、私にはこの98度という角度が重要なのでした。
試乗後、業者さんとの相談の上、ようやく決まったのが新しい車椅子の仕様でした。旧車と比べて新車は前後に5センチメートル、左右で2センチメートル小さくしました。ほんの少しの差ですけれど、車のトランクに車椅子を畳んで載せる際にはかなり違って感じられるはずです。また室内での小回りもだいぶ楽になった感じがします。小さくなったことで、重量も少し軽くなりました(旧車が15キロ強、新車は15キロ弱)。ワインレッドだったフレームの色は、今回は黄緑色としました。柔らかくて明るい色を選んだつもりです。

問題は旧車の行方です
というわけで、新車、ウレシー。けれども、問題は旧車です。これをどうするか?
 途上国の障害者に中古車椅子を送るプロジェクトも存在します。それを使ってみようかなとも思っていたのですけれど、今回の新車の仕様を決めながら、さて?と思い直しました。私の車椅子の座面と背もたれの角度はどうやら“特殊”なのです。
 そういえば、カンボジアで出会った障害者の多くが、自分の体には合っていないようなサイズの車椅子を使っているのでした。みんな先進国から寄贈された中古車椅子を使っています。
もちろん、無いよりはあったほうがいい。
それでも、私の少々ふんぞり返り気味の車椅子を知らない誰かが使って、なんかバランスが取りにくいなぁとなったりするのを想像すると、あんまり気楽に寄贈するのも少々心配になってきました。とにかく、すでに親交のあるカンボジアの障害者団体に寄贈するのがいいとは思っているのですけれど、私の旧車が身体に合う人かどうか見定めて使う人を決めてもらうというのがいいのだろうと、今思っているところです。
なるほどなぁ。こんなところにも、たまたま生まれて暮らしている社会の違いによって生じている格差というのがあるのです。自分の置かれた“恵まれた”環境を享受するのが罪なわけではありません。けれども、「恵まれている」、そのことには自覚的でありたいです。そして、その恵みをなんとか分配していかなければなぁと改めて思うのでした。
分配、大事だよなぁ。















日本は福祉大国と言われてるようですが、先進国では最下位位では?と思います。タクシーは乗車拒否する、バスも然り!公共の車椅子マークの駐車場・トイレは特に障害のないお年寄りが使用する事で障害のある者が使えなくなってる、車椅子の交付も6年以上新しい車椅子が作れないなんてなんか変です足なのに。
どうもありがとうございます!とっても心強いです^ ^ いや〜ほんとダメですよねー…サークル仲間にもぜひシェアさせてもらいます!続報ももちろんしっかりご報告しますね。
98度を現地で調整することは、できないのかしら
なるほどー。その手がありますね。
現在、プノンペンに持ち込んだ旧車は、自宅に置いてあり、ときどき高齢の叔母が使ったりしています。もし今後、広く障害者の方で使ってくれる人を探す機会があった際に、プノンペンで調整可能かどうか検討してみようと思います。
ご助言、どうもありがとうございます!