「外国人入国禁止は2月末まで継続の方向」 うーん、やっぱりちょっと書きますわ。

プノンペンで。姪っ子(10代ひとり、20代ふたり)と、パートナー(40代)と私(50代)。 本文とは関係ありません。

日本の多くの人たちが「国境を閉めること」を支持している! 

 一昨日の1月10日に流れたニュースです。外国人入国禁止は2月末まで継続の方向(共同通信) – Yahoo!ニュース

 オミクロン株の拡大を背景としてのこの「外国人入国禁止」という日本政府の水際対策、いくつかのニュースによれば、多くの国民が支持しているみたいです。原則禁止だけれど、いろいろと抜け穴があるらしく、「もっと厳しく対応せよ」という声もあるらしい。

 一方で、例えばオミクロン株の感染拡大が爆発的に広がっている英国政府は今年1月10日時点での入国を次のように規制しています。※更新【新型コロナウイルス】イギリス/ロンドンコロナ状況 | ロンドン留学センター (london-ryugaku.com) 

英国渡航に必要なこと(2022年1月10日現在)
 <入国前>
・入国後2日目のコロナウイルス検査予約 ・ワクチン接種英文証明書(電子/紙)の用意
・2回目のワクチン接種後、14日以上経過していること ・到着48時間前からのPassenger Locator Form提出
 <入国後>
・事前に予約したコロナウイルス検査の実施  ※到着した日を0日とし、2日目までにPCR検査を受けること。・検査結果が陽性の場合、自己隔離をする

 つまり、それなりの手続きを踏めば、英国籍を持たないものでも入国が可能です。資料を読む限り、入国後の隔離も求められていません。当然、英国への留学も問題なし。

 日本では国費留学生でも原則入国できません。受け入れ大学はリモート授業などの対応を迫られている。でも、せっかく留学が決まったのに、受けられるのはリモート授業では、留学の醍醐味はほとんどないと言っても過言じゃないんじゃないかな。

 岸田政権は、国境を閉じることが有権者に支持される政策だ、という判断しているように思えます。だから昨年末には、日本国籍者の入国制限も一度出ました。日本への飛行機便の新たな予約をストップするというような制限でした。これはさすがに批判が多かったようで、すぐに撤回されましたけれど。

 岸田政権の対応を見ていると、要は市民からの批判があるかどうかが大きいのだなぁとつくづく感じます。そして日本の人たちの多くは、日本国籍者が日本に帰国するのまで規制するのはよくないけれど、外国籍者の入国を原則ダメとすることは良しと、考えているのです。

感染力が強くないHIV感染者に対しても多くの国が入国規制をしていました

 未知の病気の発生という非常事態に、移動の自由や表現の自由に規制がかかる状況はあちこちで生まれています。それで思い出すのは20世紀後半に社会問題化したHIV(ヒト免疫不全ウィルス)です。あのときも他国籍のHIV感染者に対して、入国を制限する措置をとった国家がいくつもありました。HIVはけして感染力は強くありません。非感染者が感染者と日常を一緒に過ごしたとしても、感染は起こりません。もちろん新型コロナのようなパンデミックが起こったわけでもない。それでも入国時にHIVに感染していないことの証明書の提出が求められたり、入国後の検査で感染が確認された場合は国外退去を命じられたりすることがあったのです。

 ヒト免疫不全ウィルスが見つかったのは1983(昭和58)年でした。日本での最初の感染者が報告されたのは1985(昭和60)年です。当初は感染し発症したら治療方法がないと恐れられましたけれど、薬などの開発によって現在では慢性疾患として対処できるようになっています。そのHIV感染者に対して2000(平成12)年時点で96カ国が、2012(平成24)年でも45カ国が入国規制をしていました。HIVやエイズだと入国できない国がある!?【依然解除されていないHIV規制国一覧】 – 性病検査NAVI (xbiz.jp)     
 これらの規制は現在ではその多くが撤廃されています。たとえば2012年に規制があったスーダン。ここ数年スーダンで仕事していた友人に聞いたところ、ビザの取得にHIV診断結果を求められたことは一切なかったそうです。ちなみに米国ではオバマ政権の下の2010(平成22)年にHIV陽性者入国規制を解除しています(2010年まで規制してたんかい!怒!)。日本国は、私が調べた限りですけれど、HIV感染者への入国規制をとっていたという情報はありません。以前、カンボジアで働いていた際に、日本で実施された短期研修に参加が決まったカンボジアの教員から「私はHIVに感染しているのだけれど、日本へ入国できるだろうか」と相談を受けたことを思い出します。そのときも、「研修中も薬は忘れず飲むように」と伝えて送り出したのでした。日本国が、変な規制をしていなくて、ホッとしたのを覚えています。

 私からすれば、HIV陽性者への入国規制などはなんとも馬鹿げた政策だと思います。日本政府が彼らに入国規制を課したりしなかったのは、とってもよろしい。今でも長期滞在や永住を認めない国家もあるようで、その愚かさになんとも暗澹とした気持ちにさせられます。

 HIVを規制していた米国のビザなし渡航(ESTA)のホームページでは、HIV感染者への過去の規制に関して以下のような記述をしています。

「HIVが世界中に蔓延していた頃、世界中のかなりの国でHIV陽性者の入国規制行われました。もちろん、そのような規制の理由は、この危険なウイルスの拡散を防ぐことでした。すべての規制と同様に、政府は、国民と国家の利益と安全を最大限に保護するために、常にベストを尽くしています。」
HIV陽性者の入国規制とHIV陽性者の渡航について (usaestaonline.com)

なるほど、そうですか。

国家という境界を疑う

 私は、ここでオミクロン株がどれだけ危険性が高いかとか高くないか、というようなことは書けません。正直、よくわからないからです。風邪と同じようなレベルだという話も入ってくるし、WHOは「油断しちゃダメ」とも言っている。怪しいという話でいえば、PCR検査では偽陽性がたくさん出るという話も前々からあります。私自身は、このPCR検査で偽陽性が出る件は、そのとおりなんじゃないかと考えています。それでも、他にいい方法がなく、そのマイナスが判った上で使うのなら仕方がないのかな、とも思います。とにかく、感染しないのが、何よりです。
 それに市井の一個人としては、それぞれの政府が決めた政策に従うしかありません。必要ならPCR検査でもワクチン接種でも受けますよ、と思うのです。

 一方で、日本政府が選んだ他国政者の入国禁止というような政策には、なんかとても嫌~な気持ちもするのです。国が定める境界の正当性が無条件で肯定されている現状に、どこか居心地の悪いものを感じるのです。

 先の米国ビザ関連のホームページで書かれた一文。 政府は、国民と国家の利益と安全を最大限に保護するために、常にベストを尽くしています 。日本国政府もこの理屈で、他国籍者の入国を禁止しているわけです。
 これ例えば、大阪府が同じことを言って他県との境界で人の移動を強く制限したらどうでしょう。県境を超えるJRや私鉄の運行は停止。JRと私鉄の各線は、県境の手前の各駅を終点・起点として、運行されます。道路も県境で遮断。例外として、生活必需品の輸送のみが許可されます。
 これ大阪府民はどれだけ支持するでしょうか?あるいは隣県の住民からはどう評価されるでしょうか。さすがに不便ということで、支持されないんじゃないでしょうか?隣県にいる家族と会えないという苦情も絶えないだろうと想像します。

 都道府県に限りません。区市町村という地方自治体だって「住民と地方自治体の利益と安全を最大限に保護する」名目で、それぞれの境界を封鎖することが理屈上は可能ですよね(法的に云々とか、ここでは無視しちゃいます)。そうなったとき、住民はどこまでそれを支持するのか?やはり簡単には支持しないんじゃないでしょうか?

 そう考えると、国境以外の境界での強制封鎖が、そう簡単に住民に支持されるとは思えません。

 あり得るのは、感染爆発を起こした自治体があったとして、そこが周りの自治体から封鎖されるということ。これはいかにも周りの自治体の住民が賛成しそうです。そうじゃないですかね?

 こう考えていくとですね、境界を閉じることの論理が、数による暴力と思えてくるのです。まずある程度の大きな集団があったとして、それが他者(この場合は、多国籍者)を排除する理屈が、国境封鎖です。また、地域限定的な感染爆発が起こった際に、周りがそこを封鎖するのも、多数による少数の排除。これなら支持を得やすい。ところが、少数による多数の排除となると、それは難しい。

 そもそも、数ある境界の中で、なぜ国境だけが特別な力を持つのか?「自国民」というカテゴリーがなぜそれほど特別なのか? 「日本のため」という価値観が、「世界のため」という価値観より強いのはなぜか? ところが「東京のため」と「日本のため」では、今度は「日本のため」のほうが強かったりするのです、それはなぜか? 
 このあたりを、よーく考えていかないと、あっという間に「私のため」よりも「国(日本)のため」が大事になってしまわなくはないか? 

 そのあたりの怪しい腐臭をすごく感じるのですよ、「多国籍者の入国を禁止する」という日本国政府の政策と、それを大多数が支持する日本社会から(ある調査では8割の国民が支持という記事も読みました)。繰り返しますけれど、なんか嫌~な感じ、なのです。

 権力は強い。国境を閉めることも、平気でできてしまうのです。
 そして、その結果、たとえば家族同士で直接会えない、行き来できないというような問題が実際に起こっています。それが「仕方がない」で済ませられてしまう。

 さらに疑問は続きます。ひとつは、「他国籍者の入国を禁止」しても、すでにオミクロン株の日本国内での市中感染は起こっています。それは感染拡大につながっていく予兆もあります。つまり「多国籍者の入国を禁止」することに、どれだけの価値があるのかということ。
 もうひとつは、厳しい入国管理の結果、一時的に日本国内での感染拡大が防げたとします。けれども、それはいつまで維持できるでしょう?その後、海外からの入国者を受け入れるとして、そこで少しでも感染者が発生したらどうするのか?また国境を閉じるのか? そんなことを、いつまで続けるのか? つまり、一時的に厳しい入国管理を強いたとしても、それを長期に維持することは現実的な政策とは言えないのではないだろうか?

 たとえば、海外からの留学生をここしばらく数年間、ずっとリモート授業で対応するのか? 日本政府の国費留学生になったけれど、日本には一度も入国しないまま卒業しました、なんて留学生が出てくることを「仕方ない」と考えるのか? 国境を封鎖することのマイナスって、実はかなり大きいと思いますよ。日本は閉鎖的というイメージを多くの「他者」に植えつけることになっているのですから。

 そもそも、一国の鎖国政策は、「世界のため」になるのか?………ならないんじゃないのぉ、というのが私の疑問なんです。長期的に考えれば、「日本のため」よりも「世界のため」を考えるほうがいいんじゃないかしら?どうなんでしょうか。
 偏狭な視線、価値観は、どうしたって不寛容につながります。パンデミックという状況に際しては、不寛容も「仕方がない」のだろうか? 本当に? 私は、やっぱりそこに疑問があるんだなぁ。

とにかく、当面帰国しにくいです

 とにかく、当面帰国しにくいです。

 日本国籍を持っている私が、カンボジアから日本に入国することは今でも可能です。ただ、手続きがあれこれあって、なかなか面倒ではあります。私は昨年にカンボジアでコロナワクチンを計3回(中国製2回、アセトラゼネカ社製1回)を接種しましたけれど、カンボジアで発行された接種証明は日本入国時には役立たずだそうです。なんでもロット番号が記載されていないからとか(詳細、未確認)。
 ですから、今は10日間かな(要確認、追記 1月12日現在14日間の待機が必要とのことです!)の自宅隔離もしなくちゃいけません。さらに日本国内でワクチン接種の証明が必要なことなどがあったら、どうなるのだろうというのも不安です。
 さらに、カンボジア国籍のパートナーは、日本に入国できません。例えば、もし日本滞在中に私が事故にあったりしても、彼女は私に会いにこれない。これ、すごーく嫌。

 コロナ禍が始まる前、本拠地を東京からプノンペンに移したとき(2019年6月)には、用があれば気楽に行ったり来たりするつもりでいました。こんなに出入りが面倒になるとは、思ってもおりませんでした。

 今でも、ちらっと帰国して済ませてしまいたいことなどもいくつかあったりするのです。でも、なんとか帰国無しですませる方法で対処しています。それに、今、日本は寒いしね。寒いのは、苦手です。

 ということで、さて、いつ帰国できるかな。

  

 

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